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仮店舗住所 大阪市淀川区十三本町1-14-20 山崎屋ビル2F TEL:06-6390-1739 平日 16:00-23:00 土・祝 12:00-22:00 休日:日・月曜の祝日 予算:4000~6000円 要予約 |
2014年5月21日、仮店舗にて営業再開
2014年3月、近隣一帯の火事に巻き込まれ店舗が焼失。一日も早い再開が待たれる。
大阪・十三駅前。小さな商店街のアーケードの脇に伸びる幅の狭い小道。立ち飲み屋や串カツ屋が並ぶ、まるで終戦直後にタイムスリップしたかのようなエリアの一角に小さな焼肉屋がある。赤いのれんに「請来軒」の文字が目印だ。
店の一階はラーメン屋のような作りで、テーブル席もいくつかあるがメインはカウンターに腰掛けて焼くスタイル。二階は中規模の宴会も可能な位の広さの座敷部屋になっている。お勧めなのは断然一階のカウンター席だ。昔ながらの日本の焼肉屋といった風情が楽しい事もあるが、何よりもいいのは店主とコミュニケーションを取りながらの焼きが可能なこと。何故ならここで食べるべきは、 「メニューには載っていない希少部位」の数々なのだ。
希少部位はこの店では「上肉」と呼ばれ、値段は掲示されていない。が、東京の高級店で食べるそれよりははるかに安い。おそらく1人前にして1500- 2000円程度が殆どだろう。種類も非常に豊富だ。私が訪れたときには「今日はどんなのがありますか?」と聞くと、「ミスジ」「クラシタ」「イチボ」「ハネシタ」「サンカク」「カイノミ」・・・と、これでもかというほどの名が出てきた。味はもちろん極上。どれも見た目からして非常に美しい上質の霜降り肉だから、さっと炙る程度で食べられる。特にミスジは印象的で、口にした瞬間脳までとろける程の衝撃が走った。ライスが進みまくること請け合いのインパクトである。
これほどの上質肉だが、供される時は全く飾り気のないアルミの皿に乗せられて出てくる。貴婦人を思わせる霜降り肉がかくも無造作に扱われる様には、一種背徳的な興奮まで抱かされてしまうといっても決して言い過ぎではないだろう。
また、店主の人柄が良いのもこの店の素晴らしさだ。カウンターで焼いていると焼き方など細かく指導してくれるのだが、決して押しつけがましくなく、肉への愛情がにじみ出ているのだ。「焦げ目は苦みになるから、こう、こまめにぱっぱっとひっくり返して焼くとええんや」「うちじゃ朝つぶしたホルモンを夕方出してるんや。他とは新鮮さが違う」「(希少部位を)わざわざ切り分けて出すのは効率が悪いから、東京あたりじゃ殆どやってないみたいやね。確かに大変だけど、その方が美味しいからねぇ」...淡々と語る言葉が調味料となって、極上裏メニューが更に美味しく感じられてしまう。
とにかく大阪に行ったら外せない店としてお勧めしたい。そして大阪在住の方々。我々はこんな店を日常的に訪れる事の出来る皆さんが、本当にうらやましくてうらやましくって仕方がないのである。
趣あふれる店先 | 無造作に供される超上質肉 | 芸術的霜降りをガス火で |
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・ミスジ・クラシタ・イチボ・ハネシタ・サンカク等の"上肉(裏メニュー)"。店主に訊いてその日のお勧めを教えてもらおう