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東京都渋谷区渋谷2-8-1 森ビル1F TEL:03-5467-2989 18:00-25:30/不定休 予算:8000〜10000円 予約可 |
最先端のブランドショップが立ち並ぶ街、東京・青山。「松阪牛肉焼 つる屋」はこの街にふさわしく、どこか尖ったセンスを感じさせる店だ。
この店は焼肉ではなく「肉焼」を標榜している。入り口に掲げられた看板に書かれているところによれば「松阪牛 産地より直送。備長炭を使用。極上の肉汁をのがさず(いっきに)焼き上げる。これが、肉焼。」だそうである。
もとは桜新町にあった店が05年夏ごろにこちらに移転してきたそうで、まだ新しい店内は青山らしいお洒落な雰囲気。オープンキッチンに沿ってカウンター席が10人分ほど、プラステーブル席2つに座敷席2つ程度のこじんまりとした空間だ。テーブル上にはブロックで作った炭場に鉄板風の網。流れるBGMも焼肉屋とは思えない。あちらこちらにちょっと風変わりなテイストを感じさせる。
切り盛りしているのは何となくファンキーな香りがするマスター。しかし肉へのこだわりは強く、お勧めを聞けばカウンター裏から取り出した肉の塊を片手に、熱弁をふるってその素晴らしさを説明してくれる。実家が肉の卸をされている関係で、強力な仕入れが可能になっているとの事。ちなみにご兄弟も辻堂で支店を経営されているそうだ。
ウリはもちろん松阪牛(ちなみにホルモン系は松阪牛ではない)。メニューには「特選サーロイン」「特選リブロース」などの魅力的な名や、「特上クラシタ」などの希少部位名が並べられているが、ここはマスターにお勧めを尋ねるのが正解だろう。どの肉も割安とはいえ松阪牛。それなりの値段はするが、肉質は確かに素晴らしい。お勧めされた「牛刺」や「特選リブロース」は、さすがは肉の芸術品・松阪牛の面目躍如といったものだった。味付けはシンプルに塩胡椒のみ。肉そのものの味を堪能しろという強いメッセージである。
ただ、松阪牛は「甘みのある脂」を味わう肉である。ここにはデメリットもある。ひとつには量を食べるにつれどうしてもくどさ・もたれを感じてしまうこと。脂身が苦手な方にはお勧め出来ない。そしてもう1つは、脂が炭火に落ちる際に発生する副産物「煙」が尋常ではない量になる、という事だ。
これらに値段のことも考え合わせると、ガッツリ食べるというよりは、酒を飲みつつ、語らいつつ、「良い肉をちょこっとつまむ」というのが良さそうだ。カウンターには個性的なマスターを慕ってここに集っている、という雰囲気の若者達がいた。彼らの様な使い方がベストな店なのかもしれない。
店の入り口 | 芸術的な牛刺 | 脂をしっかり焼いて香ばしさを引き出す |
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・マスターのお勧めをまず聞くべし
・牛刺・特選リブロース