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佐賀県佐賀市大財1-6-23 TEL：0952-26-3990 17:00-/定休日なし（予約制） 予算：10000～15000円 予約必須

佐賀駅から1キロ弱ほど離れた、繁華街の裏路地。一見料亭のような構えのその店は、地元佐賀はおろか、日本でも屈指と思われるほどの高レベルの肉を供する焼肉店だ。基本予約客のみを受け付け、メニューは予算と希望を伝えた上で全ておまかせのスタイル。金額の目安は料理で1万円から、と決して敷居の低い店ではないが内容からすればお値打ちと言える。

店内は８席ほどのカウンターと、６－８人が座れる個室が１室、最大２０名程度収容の座敷が１室。はじめて行くならばカウンターが特等席だろう。掘りごたつ式で居心地がよいこともあるが、何よりもマスターや女将さんとやりとりをしながら食べられるからだ。気さくなおしゃべりとマスターの笑顔。その端々からは30年以上にわたって培ってきた技術への絶対的な自信が伝わってくる。

食事は女将さんの手作りによるたっぷりの前菜からスタート。キムチや各種野菜のナムルなどすべてが高レベル。しかもおかわり自由なのが嬉しい。
肉の内容は仕入れ状況と予算によって変わると思うが、肉質はもちろん、驚かされたのはその独創的な味付けだ。例えば焼き物のスタートはタレのヒレ。つけダレ自体は平凡かと思われる味だったのだが、胡椒が効いたもみダレを絡ませたヒレを焼き、このつけダレにつけた瞬間、肉の甘味を見事に引き出すタレへと化学変化をおこす。
さらに印象深かったのはポン酢ダレ。こちらはハバネロと青唐辛子が入れてあり、ピリリと辛味の効いた味。これにもみダレを絡ませたサーロインをつけて食べる。甘いタレと酸っぱいポン酢、そして辛い唐辛子という3つの味が口中で核融合を始める。いままで味わったことのない感覚だった。
また、柚子胡椒を溶いたタレを使ったピリ辛のミノも癖になる味。ミノ自体も新鮮そのもので半生の焼き加減で美味しく食べられる。とにかくひとつひとつの味に驚きがあるのだ。

全体的に濃いめではあるが、相当な試行錯誤の末にたどり着いた味付けなことは間違いないだろう。高級肉は塩で食べるのがベストと思い込みがちな中、タレによってここまで肉の甘味、旨味を引き出す事が出来るというのは新鮮な発見だ。
肉質に関してはもう間違いない。レベルが高すぎてやや霜が降り過ぎとも思えるのが難といえば難かもしれないが、意外なほどしつこくなくさっぱりと食べられるのはこれまた最高級の肉ならではだ。

基本的に常連さんが多いとのことだが、予約さえすればはじめての客でも全く問題ない。カウンターに座れば、時折ジョークを交えながらの佐賀弁による"おしゃべり上手"なトークにすっかりリラックスしてしまうはずだ。客の心をほぐす接客、円熟の肉切りの手さばき、適度な焼き方レクチャー、そして驚きと感動のある料理の数々。カウンター焼肉のひとつの頂点といっても過言ではないだろう。

料亭風の外観	レベルの高い前菜	タレのヒレはインパクト絶大
脂含有率80%に届きそうなサーロイン	肉厚のミノ	居心地のよいカウンター

＜YAKINIQUESTよりヒトコト＞
・佐賀で何店舗か展開している有名店「明月館」とは関係がないとのこと
・店の向かいに駐車場あり
・スポーツ選手、特にテニス関係の有名客が多く訪れており、テニス好きならば垂涎もののアイテムを見せてくれるかもしれない