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広島・山口遠征レポート Day2#4 by gypsy

幻の牛「見島牛」との感動の出会い。
その興奮も覚めやらぬうちに萩を後にした我々は
クルマを飛ばし、一路下関に向かった。


一般的には、下関といえばフグなどの海産物の印象が強いだろう。
しかし、実は知る人ぞ知る焼肉タウンでもあるのだ。
戦前、朝鮮半島への玄関口として栄えた下関は、
かねてから彼の地との交流が盛んな土地だった。
繁華街にある商店街は別名「リトル・プサン」と呼ばれており、
そこには数多くの焼肉店が軒を並べている、と聞く。


早くから肉食文化に深く親しんでいた土地では
焼肉も独自の発展をしてることが往々にしてある。


日本中の焼肉を食べ尽くしたいと思っている我々にとっては
是非とも訪れておきたい地のひとつだったのである。


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下関に到着すると、辺りはもうすっかり暗くなっていた。
地図を片手に「グリーンモール商店街」を目指す。
10分ほど歩き、どうやらこの辺らしい、という所にたどり着いた。


大阪・鶴橋に近いようなコリアンタウンをイメージしていたが、
実際はややうら寂しい雰囲気がただよう商店街であった。


既に閉まっている店も多く、暗がりの中を歩く人も殆どいない。
数十メートルおきに、ぽつりぽつりと看板の灯が見えるが、
そのうちのいくつかが焼肉店のようだった。


今夜はあと一軒だけにしておこう。
そう決めて「優太郎」という店に入った。


いかにも地元の家族経営店といった風情の店内。
お客さんは我々の他に一組ほど。
メニューをさっと見て、1000円を切るタンやハラミ等を注文した。


正直、それほど大きな期待はしていなかった。
まだ見島牛の感動の余韻をひきずっていたし、
下関の焼肉ストリートが思ったほどにぎわっておらず
肩すかしを喰らったような気持ちだったことも確かだ。


1109298-2.jpg


しかし、そのハラミを口にした途端、皆の眼が見開かれた。
美味い。少なくともこの価格とは思えないクオリティだ。
ホルモンも新鮮で、クニュクニュとした食感が心地よい。
味付けはやや塩気が濃いが、方向性としては好みだ。



やはり、さすがは焼肉タウン。
秘められた大いなるポテンシャルを感じつつ、
我々はホテルに戻ったのであった。


(つづく)


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広島・山口遠征レポート Day2#3 by gypsy

...待て。焦ってはいけない。
はやる心を抑えて自分を諭す。


まだ開店前だ。昨日で丁度品切れになったのに
ポスターをはがし忘れているのかもしれないではないか。
早とちりのぬか喜び、なんてのはゴメンだ。
 
 
小一時間の待ち時間がやけに長く感じられた。
「網焼レストラン見蘭」へ、ようやくの入店。
案内されたテーブルに着く前に、店員さんに確認。


「今日、見島牛はあるんでしょうか?」
「はい。わずかですが、あります。」
  
  
...やった。
確率わずか数%の当たりくじを、奇跡的に引き当てたのだ。
無謀とも思えた、この分の悪い賭けに勝ったのである。
我々は鬨の声を上げた。


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見島牛 焼肉 焼き肉


ほどなく運ばれてきた「幻の牛」を、
我々はいつも以上の集中力を持って丁寧に焼き上げ、
慈しむようにゆっくりと咀嚼した。


見島牛 焼肉 焼き肉


いわゆる「肉の味」が濃い。力強い印象の肉だ。
コクがあり、噛むほどに心地よい肉の香りが鼻腔をくすぐる。
驚いたのはその食感の柔らかさ。
どちらかというと短角牛のような無骨さを想像していたが、
むしろ黒毛和牛に通じる繊細で滑らかな肉肌だ。
適度なサシがあり、それでいて赤身の美味さも兼ね備えている。


見島牛 焼肉 焼き肉


なるほど。
この元牛がいたからこそなのだな。
一口サイズのピースでも、しっかりと肉の味が堪能出来る肉質。
焼肉が日本全国にこれほどまでに普及し、愛されているのは
この牛から肉質を受け継いだ黒毛和牛のおかげなのだろう。


我々はしばし、焼肉の歴史に想いを馳せた。
もちろん、箸と口はせわしなく動き、肉を捉え続けていたが。
 
 
それにしても、こんな奇跡があっていいのだろうか。
あるかどうか分からない肉を食べに、東京から山口まで出かけて
たまたまその肉に巡り会えるとは。


店員さん曰く、今日の見島牛は前日に突如入荷したものだとのこと。
しかも今日中には売り切れるだろうというくらいの少量だったそうだ。
そして入荷する頻度は、はっきりとは言えないが年6-7回程度らしい。


もはや偶然という言葉では片付けられなかった。
皆、口に出さずとも心で感じていた。
これはもう、神様のなせる技としか思えなかった。


そう、「焼肉の神様」はいたのだ。


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余談だが、この日の夜、なでしこジャパンがW杯で優勝。
主将の澤選手は「サッカーの神様っているんだな」と漏らしたという。


きっと、神様は皆の側にいるのだ。
強く思い、努力さえすれば、その力を貸してくれるのである。


(つづく)


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広島・山口遠征レポート Day2#2 by gypsy

ここで今一度、見島牛について触れておかねばなるまい。


「見島牛」は、
和牛の元牛といわれている日本在来の牛である。


現在「和牛」と呼ばれている牛は、
日本在来種の特徴である「霜降り」「肉質の良さ」と、
外国種の持つ「体の大きさ」という特徴を融合すべく
交配によって開発されたものだ。


そんな中、この「見島牛」は、萩沖の孤島「見島」にて
純血を守り続け、現代にその姿を残している牛なのだ。
何と天然記念物にも指定されているほどである。


110923-1.jpg


そのため、基本的に牝牛を食べる事はできない。
雄のみが食用に回されるが、その数は年間わずか12頭ほど。
つまり、月に一頭という割合である。
しかも出荷の時期が決まっている訳でもない。
「幻の牛」とも呼ばれるゆえんである。


110923-2.jpg


見島牛の販売は一社のみが取扱っており、
都内のレストランなどにも少量を卸しているらしい。
が、高価で貴重なこの肉を仕入れている焼肉店はない。
...ただ、一店のみを除いては。


それが今回向かっている、国内唯一の見島牛販売会社が直営する
「網焼レストラン見蘭」なのである。


しかし、それとて決して確率のよい賭けではない。
直営店といえど見島牛を入荷するのはひと月かふた月に一度程度。
それも数日で売り切れてしまうほどのわずかな量だ。
訪問前に電話で尋ねたが、次の入荷の時期など全く分からないし
もちろん見島牛の予約などできるはずもない事だった。


つまり、萩まで出向いたところで
見島牛の焼肉が食べられる可能性はかなり低いのである。


それでも我々は、クルマを飛ばして萩に向かった。
1%でも可能性がある限り。幻の肉をこの手で焼くために。
まさに「焼肉の神様」に祈るしかない状況なのであった。


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店についたのは想定よりだいぶ早く、まだ開店前だった。


何気なくガラス越しに店内を覗き込む。
するとレジ横に、一枚のポスターが貼られているのが目に入った。
ガラスに顔を近づけ、目を凝らしてみる。


「天然記念物 見島牛 緊急入荷」
 
 
 
.........!!
 
 
110923-3.jpg


(つづく)


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広島・山口遠征レポート Day2#1 by gypsy

二日目。ランチでひと焼きしてから広島を出発し、
今回のメイン目的地である萩に向かう。
更にそこから下関までドライブという、
過酷な長距離移動を予定している一日である。


広島の最後に訪れた店はこちらの「馬の手」


110922-1.jpg


何というか、実に破天荒な外観だ。
個性的という言葉だけでは片付けられないインパクト。
店内にも独特の空気感が漂っている。
マスターの物腰は意外とソフトだが、その言葉からは
肉に対する自信がひしひしと伝わってくる。


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「コウネ」はじめ数種類の肉をセレクト。
卓上のガスコンロでじっくり焼き進めていると、
マスターから、ハンバーグもお勧めだと教えられる。
すかさずそちらもオーダーする。


110922-3.jpg


うん、これは美味い。
肉もさることながら、デミソースが絶妙だ。
そういえば、名物だという「味付けもやし」や
刺身が出せないからと作ってくれた「たたき」も
調味のバランスが素晴らしかった。


110922-4.jpg


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そう、つまりここはすごく料理上手なお店なのだ。
肉そのものだけではなく、肉料理全般を楽しむ
という姿勢で訪れるのがベストなのであろう。


それにしても広島は個性的な焼肉店が多い。
滞在20時間強、4店訪問ではとても探究しつくせなかった。
必ず、また来よう。


後ろ髪を引かれつつ、我々はクルマに乗り込んだ。


(つづく)


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広島・山口遠征レポート Day1#2 by gypsy

二店目は写真&Web公開NGのお店だったので掲載はしない。
ただし、お任せコースのみのその店では、
「コウネ」はもちろん、それ意外の肉もさんざん食べ、
〆にはスープもご飯も食べ、かなりお腹が満ちた、
というより満ち過ぎたということだけは報告しておきたい。


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正直今日はもう止めておこうかという空気も流れかけたが、
心を奮い立たせ、次なる焼肉店「西三代」に向かった。
結果的にはこれが大正解の判断であった。


110921-1.jpg


何と我々はここでも「白いセンマイ」に出会ったのだ。
もっとも、先ほどのものよりすこし灰色がかっており、
マスターも「状態が良いときはもっと白い」とは言っていた。
しかしながら、軽くあぶってポン酢をつけて口に放り込めば
噛むたびに広がるみずみずしい味わいは白いセンマイならでは。
気づけば皆、夢中で箸を伸ばしていた。


110921-2.jpg


今まで延べ千店以上で食べてきて出会わなかった肉に、
この一日で二度も出会うことになるとは。
広島焼肉、あなどりがたしである。


110921-3.jpg


こちらの辛いタレも秀逸。
マスター曰く「塩で食べた方が肉の味は分かるよ」との事だが
適度な辛味とほのかな甘みのバランスが素晴らしく、
これはこれで焼肉として非常に完成度が高い。


110921-4.jpg


また、思わず頼んだ〆の中華そばもよかった。
醤油味で少しとろみのあるスープに細麺。
何だかほっとする、懐かしい味わいである。
のれんに「やきにく」と「中華そば」が
並列で表記されているのは伊達ではないといったところだろう。


もちろん広島名物・コウネもしっかりといただき、
こうして夕方から夜にかけて三軒をハシゴして初日は終了した。


明日はいよいよ、萩経由で下関までの長距離ドライブである。


(つづく)


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Google「こだわり人のプレイス動画」に出演しています by gypsy

「Googleプレイス」というサービスをご存知でしょうか?
お店や場所に関する情報をまとめたもので、もちろん
焼肉屋についても、住所や連絡先や口コミなどが見られます。


昨日(9月14日)から公開されている、
このサービスのプロモーション動画に私gypsyが出演しています。



題して【こだわり人のプレイス動画】。


「新しい場所を探す名人」として、焼肉について語っております。
1分ちょっとのインタビュー映像です。
覆面匿名にて活動している関係上、終始顔が陰になっており
ちょっと見苦しいのですが、ご了承いただければと思います。


合わせて、私のお勧めの焼肉店リストというものも公開しています。
このサイトでも紹介させていただいている店が殆どですが、
一部サイト掲載が追いついていない店も含まれています。
よろしければこちらからどうぞ。


ちなみに、ラーメンやビール、おひとりさまなど
他の様々なジャンルのマスターの方々も出演されています。
自身のこだわりを熱く語る皆さんの姿はとても魅力的です。
是非こちらからご覧下さいませ。



広島・山口遠征レポート プロローグ by gypsy

昨今、肉界(というものがあるならばだが)はすっかり「熟成肉」ブームである。


ドライエイジング、ウェットエイジングなど、若干の違いこそあれ、
赤身の肉を数週間〜数ヶ月寝かせ旨味を凝縮し柔らかな食感を引き出す手法。
この「熟成肉」をウリにしたステーキハウスやレストランが急増中なのだ。


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私もその内の何店かで食事させてもらったことがある。
赤身の旨味や香りが強調されつつ固すぎない歯ごたえに仕上がっており、
これはこれで肉好きならば一度は食べておきたい独特の魅力がある。
さて、そんな熟成肉を堪能するうち、ある考えがふと頭に浮かんだ。
 
 
「日本でこれだけ焼肉が広まったは、『和牛』がいたからこそではないか?」
 
 
 
...失礼。結論を急ぎ過ぎてかなり話が飛んでしまった。
つまりこういうことだ。
 
 
熟成させる肉としては赤身の割合が多いものの方が適している。
ところが赤身肉の美味さはある程度の塊で焼かないと引き出せない。
そして、塊肉を焼くのはプロの技とそれなりの設備が必要だ。
つまり、赤身部分が多い牛肉の産地であるアメリカなどでは、
肉を熟成させ、プロが塊で焼いて供するステーキ文化が発達した。


一方、和牛はもともとカラダに脂肪を蓄えやすい性質の牛といわれている。
適度な脂肪が霜降り状に入った肉は、小さく切っても旨味が味わえる。
小さく切られた肉は素人でも焼きやすい。故に焼肉に適している。
だからこそ、日本ではこれほどに焼肉が普及することになったのではないか。
 
 
...と、あらためて和牛の特異性、独自性に想いを馳せたのである。
そのうち、肉ファンの間で幻と崇められる"あの牛"を焼きたくなってきた。
そう、和牛種の元牛といわれる、天然記念物の「見島牛」である。
 
 
調べたところ「見島牛」を焼肉で食べられる店は全国に1つしかなさそうだ。
それは見島牛の産地付近、山口県は萩市にあるお店である。
ならばやむを得ない。東京からその地まで出向こうではないか。


その流れで、充分に開拓できていなかった近隣の大都市・広島と、
中国地方きっての焼肉タウンといわれる下関まで足を伸ばそう。


こうして今回の焼肉遠征は「広島・山口」と決まったのである。
 
 
(つづく)


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