元洋食店シェフの作る味は焼肉というよりも「料理」だ
花田流焼肉 炭家(東京・沼袋)
東京都中野区沼袋4-32-6TEL:03-3319-8629
18:00-材料終了まで/月火休(祝日は営業、翌水休)
予算:6000~8000円
予約可
東京・沼袋。都心からだいぶ離れたこの場所で、オリジナリティあふれる焼肉を供する店がある。ご夫婦と娘さんによる家族経営の小さな店だが、わざわざ出かけてでも食べたいと思わせる味がそこにはあるのだ。
この店の素晴らしさは、唯一無二の焼肉を食べさせよう、というマスターの志の高さにある。聞くところによると、元は洋食屋のシェフだったマスターが焼肉に魅せられて始めた店だとか。そのこだわりは随所に感じられる。殆どの肉にはあらかじめ下味がつけてあり、テーブルの上につけダレは無い。客は出された肉を焼いてそのまま食べる、というスタイルだ。またメニューには「自然」「オーガニック」といった文字が並び、素材に対する妥協のなさがうかがえる。
どの肉も切り方・味付けそれぞれに工夫があって楽しいが、印象的なものをあげるならばまずは「辛(しん)焼肉」と名付けられた、辛い下味のついたシリーズ。特に「辛カルビ」は柔らかい上質なカルビにしっかりと染み混んだ味が絶妙。噛めば噛むほど辛みと旨みが口中に広がる。辛カルビには塩とタレがあるが、塩はビールに、タレはご飯にぴったりの味。より独自性の強い肉を求めるならば塩の辛カルビにトライして欲しい。
又、「特製ロース1988」も外せない。この謎めいた名のメニューの正体は、美しい霜降り肉を炙り、焼きあがりと同時にお手製のガーリックバターを巻いて食べる”ミニステーキ”状態の一品。極上肉とガーリックバター。これで美味くないはずがないという代物である。
ただ、これを純粋な意味での「焼肉」と呼べるかどうかは論が分かれそうなところではある。むしろ「焼肉風料理」とでもいうべきものなのかもしれない。しかし、巷に同じような焼肉屋が乱立している昨今、他の店とは違う独自ものを出そうという強い気概は大いに評価出来るものだ。
さんざん食べたらシメには「自然らーめん」がいい。天然の素材にこだわった薄味のスープが口中をさっぱりとさせてくれる。これまた焼肉屋としては異端だが、ここでは必食のメニューなのである。
辛カルビタレ
まさにミニステーキの特製ロース1988
滋味溢れる自然らーめん
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・「辛カルビ(塩orタレ)」と、ガーリックバターを乗せる「特製ロース1988」。
・黒板のお勧めメニューも見逃せない。
・シメは「自然らーめん」で。