最上の素材を惜しげなく使う新進気鋭の高級店
よろにく(東京・青山)
東京都港区南青山6-6-22 ルナロッサ南青山B1FTEL:03-3498-4629
18:00-23:00/無休
予算:10000~12000円
予約可
路地裏店やオンボロ店に名店が多いのは焼肉の面白いところではあるが、一方で「高級焼肉店」というと昔ながらの画一的でステレオタイプなスタイルを抜け出せていないところが多いように思う。そんな中、2007年に青山・骨董通りに誕生した「よろにく」はエッジが立っている。篠崎「ジャンボ」で修行後に開店したと聞くが、大衆的な「ジャンボ」とは似ても似つかない店構え。分かりにくい入り口から地下への階段を下ると、焼肉店というイメージからはかけ離れたモダンな空間が広がる。まず目に入るのはバーカウンター。オープンスペースのテーブル席のほか個室も用意されている。当然ながら財布にやさしいタイプの店ではないが、それだけに通常ではなかなか味わえない体験が待っている。
単品で頼めるアラカルトメニューもあるが、こちらに来たらお勧めは断然おまかせのコース。このお店の良さはコースに凝縮されているからだ。なおコースには幾つかの価格バリエーションがあるようだが、どうせなら奮発して10000円(個室料込み)のコースを予約したいところ。コース内容は日によって変わるようだが、大体焼き物で8種前後、刺身で2-3種。もちろんキムチやナムルもあり、途中ではお吸い物、〆にそうめん、最後にはデザートもつく。
肉質はさすがに一級品。特に正肉・希少部位系においては確実に上質肉が食べられる。見た目にも美しいが、口にすると脂の甘みが違う。厚切りの上タンも秀逸な一品だ。ホルモン系はやや弱い感があるが、ハツ焼きなど、コースにあらかじめ入っている部位のものならばまず間違いはないはずだ。
また、肉に限らずあらゆる素材に関してはとにかく最上級のものを使っているという印象を受ける。例えば肉刺しに使うたまり醤油やサーロインに添えられたデコポンのポン酢、そうめんのダシつゆなどなど、一口で非凡さが分かるものばかり。極上肉×最上素材のタッグがワンランク上の感動をもたらす。このあたりは他の多くの店と一線を画しているところだ。
一方タレはあくまでも力強く、いい意味での下世話さを残しているのも良い。やや逆説的な言い方になるが、ただひたすら高級を気取っている訳ではなく、あくまで軸足は焼肉においているという主張が感じられる。
コースをお勧めするもう1つの理由は、その組み立ての面白さにある。塩ものを続けてじらすだけじらしてから強烈なタレものを持ってくる。お吸い物で一度冷静にさせておいて、やおら怒涛の希少部位攻撃を仕掛ける。実に切り口が多様で飽きさせないのだ。その裏にはマスターの研究熱心さと「お客さんを驚かせたい、喜んでもらいたい」というホスピタリティが垣間見える。実はこのマスターの探究心こそが「よろにく」の真髄なのかもしれない。何度訪れても、そのたびに新しい工夫のあとを感じる。今後どのように進化していくのかが楽しみな店だ。
最後に、蛇足かもしれないがデザートの「ほうじ茶のかき氷」は絶品。スイーツ好きはもちろん、甘いものが苦手という人にも是非トライして欲しい。
ユッケと肉刺し
ヒレと塩と胡椒
赤身の希少部位、ツチノコ
タレものはあくまで力強く
シルクロースはまさしく絹の舌触り
ほうじ茶のかき氷も必食
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・焼き物では厚切りの上タン・タレのミスジ・ハツ焼き。肉刺しも印象的。
・お勧めは個室料込み10000円のコース。ちょっと安い8000円コースもある(個室でなければそれぞれ1000円安くなる)。
・店はちょっと見つけづらい。骨董通りと六本木通りがぶつかる少し手前のミニストップの脇を入る。暖簾の脇に「よろにく」の行灯がある。
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