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吉野屋について知っている二、三の事柄

肉コラム

昨日、2月11日は 吉野屋で一日だけ牛丼が復活した日。
国民的行事にように行列が出来たのはご存知の通り。
そして、自分も近所の ヨシギュウ に行って10分程並んで食べてきた。
ちょうど一年前に食べたときのように。
なんで行列までして食べなきゃイケなくなったかと云えば
ご存知 『米国産牛肉の輸入禁止措置』 による影響。
吉野屋に代表されるこの禁止措置の影響は
焼肉業界にも深刻な影響を与えている。
米国産牛肉全面的早期輸入再開を求める会によれば
過去一年に全国で約2000店の焼肉屋さんが廃業、
そしてこれは身を持って実感していることだが、
メニューに記載されている 「牛タン」 の価格が如実に上昇し、
そして、一部のお店では無理して 牛タン を提供することを
半ば諦めてしまっている状況である。
焼肉店のチェーン店化が進んだ現在、大手チェーン店が
国産牛肉のタンを調達せざるを得ないために独立系の
店舗がその煽りをモロに喰らっていると云う。
我々の前で遠くを見ながら台所事情を語った店主の顔が
忘れられない。
吉野屋では牛丼を食べに来たお客さんのクルマが
店舗に突っ込むというアクシデントにまで
見舞われてしまったわけだけれども、
それについてインタビューに応えた吉野屋社長の
安部修仁氏の顔にも前出の焼肉店店主に通じる遠い目があった。
この安部修仁氏、アルバイトで吉野屋に入って社員になり、
1980年に倒産を経験、1987年に会社更生法による復活して
1992年から代表取締役を務めるホンマモンの叩き上げである。
牛丼を掻き込んで、そろそろ完食といった頃に
吉野屋の店長がひっそりと言ったのが聞こえてしまった。
「もうそろそろなくなっちゃうけど、ちょっと取っておいて。
せっかくだから、最後にみんなで食べようよ。」
お客様に出しなさいと怒る人もいるかも知れないが
従業員思いの温かみのある心は店舗にも無事伝わっているようである。
忙しさの為にオーダーの順序が前後してしまっても
誰も文句を言わずに温かく見守っていたのも印象的だった。


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