焼肉探究を極めるマスターのパワープレイに身を委ねよ
やまがた屋(大阪・北新地)
大阪市北区堂島1-5-5 エスパス25 3FTEL:080-5319-8929
18:00-23:00/日祝休
予算:12000〜20000円
要予約
あのやまがた屋が帰ってきた。進化して帰ってきた。
2012年3月にオープンした新しい店舗はカウンター6席のみ。その昔、北新地に移ってくる前の「全ての肉の焼き加減をマスター自身が完璧にコントロール出来る」規模に戻った。
焼き台がカウンターの向こう側の大きなダクトの下に配置されることで、かつては客の目の前で繰り出されていた華麗で独創的な焼き技は見にくくなってしまったが、その分焼き加減の精度は更にアップした。
ほぼ塩のみだった味付けは、例えばアブシンに粒山椒を合わせたり、ギアラを薫製で仕上げるなど、今までのやり方でも間違いなく旨かったものにプラスαの方向を模索している。
そして何といってもおまかせのコースに正肉が加わったことは大きい。肉質も焼き加減も最高のシャトーブリアンで締める流れは、食後感の満足度はもちろん、1万円というコース価格への納得度も高まった。
自ら購入したという熟成庫を使って研究中の赤身熟成肉がこのコースの一角に加わってくる時、どんな焼肉を我々に見せてくれるのか。
今後もやまがた屋のマスターの飽くなき探究心が生み出す独自の世界にますます期待したい。
(2012年7月)
完璧な仕上がりのタンステーキ
小腸に「あけがらし」を添えて
シャトーブリアンを粒胡椒で
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・6人貸切の場合、日祝も営業あり(要相談)
・非通知の電話はNG
(以下は過去の記事)
*2011年5月末をもって、マスターが全ての肉を独自の技を駆使して焼き上げる「やまがた屋」は閉店。6月からは場所は変えずに「焼肉やまちゃん」となり、通常の焼肉店同様、客が自分の肉を焼くスタイルの店として営業。
*2010年8月に新システムの店を訪問。繁華街である北新地への移転、店舗拡大、内装、排煙の大幅改善、従業員増(以前はマスターひとり)などでずいぶんと快適な環境になり、所要時間も2時間程度と短縮された。反面、コース価格も9000円/12000円の二種類とかなり上がった。行くならばトータル15000円はかかると思った方がいい。もちろん肉の質、カッティングや焼き方の技術、そして独自の口上と唯一無二のスペシャルさは健在だ。以下は以前の店舗訪問時の記述。
焼肉が好きで好きで仕方ない男が、従来の常識にとらわれない自由な発想で焼肉をとことん探究していったらどうなるのだろうか…?その答えのひとつは、恐らくこの「やまがた屋」にある。ここで行われているのは、言わば1日に8人限定のワンマンライブだ。
大阪は東梅田の路地裏。ボーッと歩いていると見過ごしてしまいそうな、間口の狭い雑居ビルの4Fに「やまがた屋」はある。うなぎの寝床状の店内にはカウンターのみの8席。いかにも元スナック風な内装だが気にしてはいけない。ここがその夜のアリーナ席なのである。
カウンター奥に立つマスターの山形氏は、最初に飲み物のオーダーだけとり、淡々と焼きの準備を進めていく。肉はホルモンの6000円コースのみ。食べ終わった後で追加出来る肉もあるが、基本はマスターが納得いく肉を8人分のみ仕入れ、それによってその日のコース内容が決まるというスタイルである。カウンターに等間隔に七輪が置かれたら、いよいよライブの幕開けである。
カウンターの向こうから塊肉を見せ、独特の口調で解説をした後、丁寧に人数分に切り分けていく。素材のいいところだけを使い、余った部分は惜しげもなく捨てる。タンなどいきなり一本を半分に切り、タン先側を捨てるというパフォーマンスだ。こちらのボルテージは一気にあがる。このあたりからすでにマスターの術中にはまっているのかもしれない。やがてゴリッ、ゴリッと仕上げの塩を挽く音が聞こえれば、焼き開始はもうすぐだ。
客の前に肉を置いたマスターは、待ってましたとばかりに焼こうとする客を軽く制し、おもむろに左手に軍手をはめる。そして何と、全員分の肉を自らの手で焼き始めるのである。キッチン内を右へ左へと移動しつつ、複数台の七輪をこまめにケア。更に焼きムラを防ぐため、手で網を細かく水平回転させる。そう、軍手はそのためのアイテムなのだ。七輪の間を往復しては網を回す。その激しい動きは、あたかもDJのごとし、である。
こだわりの肉をこだわりの切り方・味付けで供し、更にはこだわりの焼きテクニックで仕上げる。自身がイメージする焼肉の姿をとにかく徹底的に追求し、完璧に近い形で提供する。そこではもはや1枚1枚の肉は「作品」なのである。どちらかといえば鮨に近い考え方だろう。
DJ YAMAGATAのパワープレイは3ー4時間にも及ぶ。その間も「網回し」を始めとした多くの超絶テクは炸裂しつづけ、その手から生まれる作品たちは観客を熱狂の渦に巻き込むだろう。ひとつひとつの肉の味や技の詳細をここで紹介することは控えておく。ライブの感動は言葉では伝えられないからだ。是非、直接店に行って体験して欲しい。ただ、ここで食べた「上厚切りタン」には、椅子から転げ落ちそうになるほどの衝撃を受けた、とだけ記しておきたい。
もちろん我々として「自分で焼けない」というフラストレーションは残る。しかしそれを差し引いてもお釣りが来るほどの感動を与えてくれる。大阪の奥深さ、焼肉の自由さを身にしみて感じることが出来る、焼肉好きなら一度は行っておくべき店だ。
贅沢に切り出されたタン
マスターによって完璧な焼き色へと仕上げられる
軍手をはめての”DJプレイ”
繰り出される数々の焼き技の一例
「キモグレンス」など変わった部位も登場
食感が楽しい「肺」
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・タンは売り切れご免の「タンステーキ(1000円アップ)」を予約したい
・コースは計3-4時間かかるので後の予定は入れないでおくのが無難
[食70【京都・大阪・神戸】]東梅田 やまがた屋
大阪出張での仕事の後、諸先輩と向かったのは念願のやまがた屋。“食い倒れ”のハイライトであります。 わかりにくい雑居ビルのエレベーターを4階まで上がり、エ…