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地元で焼きながら

肉コラム

今日は自宅で夕食にしようと思っていたのに
玄関の手前まで来て、ふとどうしても焼きたくなる。
そんな体験は、ごく当たり前に、誰にでもあると思う。
こうなってしまったらもう仕方ない。焼くしかない。
今来た道を戻って、駅前に向かう。
目指すは商店街にある小さな焼肉屋。
いつもの「わざわざ」電車を乗り継いでまで行くような
極上の焼肉屋とは比較できるものではないが、
地元の人々に愛されている、まっとうな店だ。
ドアを開けると、平日の遅い時間だけに客はまばら。
自分の他には、家族連れが二組だけだ。
恐らくどの「地元」にも、こんな店があるのだろう。
家族で、なにかほんのちょっとした良いことがあったときに
少しだけ奮発して食べに来るような焼肉屋。
ものすごく美味しい訳ではないけれど、
近いし、そこそこの味だし、値段も安い。そんな焼肉屋。
そういえば自分も、昔はよく家族で焼肉に行った。
家族で外食となると、焼肉が圧倒的に多かった。
そんな時行くのは、決まって地元の焼肉屋だった。
あの頃は、あの肉が最高に美味しいと思っていた。
焼肉はある種の幸せのカタチだったのかもしれない。
大学生になったころから、時々友人と焼くようになり、
やがて給料をもらうようになって、環境は劇的に変化した。
自分の自由に使える金を握りしめて街に繰り出し
それまでは考えられなかったような贅沢な肉を食べた。
美味い肉を求めて彷徨い始めたのはこの頃からだ。
いわゆる高級な焼肉屋にも何度も行ってみたが
いつも自分が惹かれるのは、どこか哀愁の漂う
「地元」の匂いがする焼肉屋であることが多い。
それはもしかしたら、自分の原体験のせいなのか。
あの頃の感覚を潜在意識が探し求めているのだろうか。
 
 
これからもQUESTを続けていこう。
日本中の「地元の焼肉屋」を訪れるまで。
やや濃いめの味付けの塩ハラミを食べながら、
ぼんやりとそんなことを考えた夜だった。


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