15:30少し前。我々はJR環状線・桃谷駅に降り立った。
新幹線新大阪から一旦大阪駅に出て、環状線で桃谷まで。
慣れない事もあり、思いのほか時間がかかってしまった。
もう空腹はとうに限界を超えていた。
しかし、なにしろ今日はこれから4店まわるのである。
最初のこの店ではセーブしよう。特にライスは厳禁だ。
皆、そこだけはしっかりと確認する。
一店目は「とさや」という小さな焼肉店。
ここは「焼肉発祥の店」と言われているところだ。
終戦直後、屠場で当時は捨てられていた内臓類をもらってきて
現在の焼肉に近い、客が焼くスタイルで提供したのがはじまりだとか。
今でも当時のままの店で、名物女将が切り盛りしているという。
我々の大阪遠征のスタートにはぴったりの店ではないか。
「この辺りか…?」
地図を見ながらたどり着いたのは、どこかでみたような下町の風景だった。
時々見かけるハングルの看板だけが、わずかに違和感を与えているのみ。
しかしそこには、在日の人々の暮らしてきた歴史が染み付いていた。
本当にディープなコリアンタウンというのは、新大久保みたいなところよりも
むしろこういう、生活臭がする普通の町なのだろうと思った。
どのくらい歩いたろうか。ついに「とさや」の看板を見つけた。