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暖簾をくぐると、店内は暗く人気がない。
「こんにちは。」最初は静かに、2回目はやや大きな声で言ってみる。
程なくして店の明かりがつき、奥からおばあさんがゆっくりと出てきた。
営業時間中なのを確認してから、靴を脱いで板の間に上がる。
軋む床を通してこの店の歴史が体にダイレクトに伝わってくる。
腰を下ろし、おもむろに辺りを見回す。
煤けたポスター。ゆがんだ天井。大量に置かれた謎の梅酒…
何より時間が止まっているかのような独特の空気感がすごい。

女将に勧められるがままにオーダー。
待つことしばし。出てきた肉はどれも大ぶり。
しかも一人前の量がかなり多い。しまった、頼みすぎたか。
味付けは基本タレのようで、タンもタレで出てきた。
使い込まれた七輪に乗せ、じっくり焼いてから口に運ぶ。

美味い。タレが非常にいい。
肉の味を殺さず、ジューシーさを引き立たせるタレだ。
そうこうしているうちに注文した肉が次々と並ぶ。
バラ・ハラミ・テッチャン…もうこちらの食欲はピークである。
先ほどの誓いなどすっかり忘れ、我々はほぼ同時に叫んでいた。
「すみません、ライス3つ」
＜この店のQUEST速報＞
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