ガード下でしみじみ喰らう肉と酒
大盛苑(東京・大井町)
東京都品川区大井1-1-28TEL:03-3772-3382
17:00-25:00(日祝15:00-24:00)/月休
予算:4000〜6000円
予約可
ガード下の店…ああ、なんと哀愁漂う言葉だろうか。近年では区画整備や改修などが進み、”ガード下らしいガード下”というものが減りつつあるように思う。そんな中、古き良き「ザ・ガード下」ともいえる雰囲気を堪能出来る一店を紹介したい。
最寄りは東急大井町駅。大井町線の線路に沿って5分ほど歩いたところにある、一見中華料理屋のような外観の焼肉店だ。店内は狭く、2階建てだがガード下だけあって天井の低い造り。全体に煤けて壁や床がやや歪んだような空間が逆に焼肉気分を盛り上げてくれる。何とも年季の入った佇まいだ。
板の間の座布団に腰掛け、メニューに目をやればその種類の多さに驚くはず。正肉、内臓系はもちろん、魚介にご飯もの、麺類、スープにチゲ、一品料理と実に多くのラインアップ。お店は奇麗じゃないけれどお客さんには満足してもらおう、というサービス精神がにじみ出ているようで嬉しくなってしまう。
とはいえ何を頼むべきか迷ってしまう、という向きにはホルモン系中心のオーダーがお勧めだ。まずは厚切りのタンを煮込んでおでんにした「たんでん」や、置いている店があまりない「ハラミ刺し」辺りをスターターにしよう。肉はどれも食べごたえ満点の厚切り。お勧めはサシのしっかり入った「上ハラミ」やコリコリ感がたまらない「ミノ」、鮮度が高く歯ごたえが心地よい「ホルモン(シマチョウ)」などだ。特にハラミはクオリティとボリュームから考えるとかなりリーズナブル。このあたりは芝浦の食肉市場からほど近い立地ゆえ、鮮度重視のホルモン系に強い店が昔から多いと聞くが、そんなことも関係しているのかもしれない。
味つけはタン以外は何もリクエストしなければタレ(ホルモン系は味噌ダレ)がデフォルトだが、頼めば塩でも出してくれる。どの味つけもお酒にぴったり合う-つまり濃いめ-になっている。煙につつまれてホルモン系を食べながら酒をあおり、しみじみと語り合う。そんなスタイルがぴったり似合う店なのだ。
風情あふれる外観
珍しいハラミ刺し
ひとめで鮮度のよさが分かるホルモン
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・ハラミ刺し、上ハラミ、ミノ、ホルモンなど。
・塩味は特に強めなので、普通のタレものも適度に混ぜるのがベター。