住宅地の居酒屋で分厚い極上肉、のギャップにノックアウト
通せんぼ(新潟・新潟市)
TEL:0250-24-8401
17:00-22:00/月休
予算:4000〜6000円
予約可
色々な意味で驚愕の焼肉店である。場所は新潟駅から信越本線で20分ほどの新津駅。地元の人以外はまず来ないような場所だ。夜ならば駅を出ると辺りは暗く、飲食店などどこにもなさそうな雰囲気である。わずかに光る街灯を頼りに2分ほど歩くと看板の明かりが見えてくる。ここが「通せんぼ」だ。
しかしここで看板を見上げてまた驚く。確かに「焼肉」とあるのだが、脇には「さしみ・からあげ・おにぎり・・・」などと書かれている。ここは本当に焼肉店なのか?一瞬疑うが、再び看板に目をやると、そこには「堅い信用・やわらかいお肉」の文字。・・・未だやや複雑な気分ではあろうが、その言葉を信じて店内に入ろう。
中は小上がりがメインの居酒屋風の造り。カウンターの奥にはご主人が控える。まず目が行くのはそのカウンター上にある冷蔵ケースだろう。タン・ハラミ・カルビ・ロース・・・あらかじめ切られた肉がずらりと並ぶ。しかしよく見ると、その脇にはイカ・マグロといったシーフードも並んでいる。ここでも心に微妙なざわつきを感じるだろうが、気にせずに席につこう。
メニューに目をやる。まっさきに気になるのは”時価”と書かれたタンやカルビなど。寿司屋ならいざ知らず、焼肉店で”時価”とうたう店は珍しい。肉への自信がほとばしっているようだ。だがもちろんその横にはからあげなどの居酒屋メニューが並んでおり、再び若干の疑いが芽生えてきそうになるのは否定できないが、その気持ちはぐっと飲み込もう。(ちなみに尋ねてみたところ”時価”の目安は上タンで2000円、上カルビで1800円とのことだった)
肉が出てくる前に生野菜を取ろう。こちらの野菜はセルフサービスで、入り口正面に設置されたカット野菜を好きな分量だけ取り、大容量のボトルからドレッシングをかける。このあたりの作法もあなたを戸惑わせるかもしれないが、ここまで来たら極上肉まであと一歩である。
さて、いよいよここからが真骨頂。供される肉そのものに驚く番である。どの肉もかなりの厚めにカットされている上、量もたっぷり。マスター曰く「通常の1.5倍程度の分量」とのことだから、一人前で150gくらいあるのだろう。無造作な盛り付けがかえっていい感じだ。もちろんすごいのは量だけではない。タンは脂を多く含んだ柔らかな部分を使っているのできれいなピンク色だし、ロースやカルビは見事な霜降りだ。若干肉質が劣る部分も混ざりこんでいるが、それらも含めてよい意味での迫力をかもし出しているのだ。こうなったらもう後は目の前のガスコンロで焼いては喰らい、喰らっては焼くの世界である。
肉質が良いので味付けは塩で十分美味いが、手元のつけダレも独特でよい。しょうがを使っているのだろうか、甘みの中にピリッとした辛味があり、飽きさせない。通常比1.5倍の肉もペロリと平らげられてしまうだろう。お腹が膨れたころには、当初感じていた不安はどこかに吹き飛び、心地よい満足感だけが残っているはずだ。
ところで店内には、バーベキュー用としても肉を販売しているという張り紙があった。なんとバーベキューでもこの肉が味わえるとは、地元の方々がうらやましい限りである。
「堅い信用、やわらかいお肉」
冷蔵ケース。この左側にはシーフードが並ぶ
肉を喰らう本能的な喜びに浸ろう
<YAKINIQUESTよりヒトコト>
・上タン塩・上カルビ・上ロースなど”時価”もの